CO2削減への取り組み

目次

コンクリート用化学混和剤インベントリについて

1.はじめに

コンクリート用化学混和剤(化学混和剤と略す)はコンクリート材料の中では、単位体積当たりの使用量は少なく、化学混和剤の製造に伴う資源消費、CO排出量は比較的小さいことが特徴です。ここでは化学混和剤インベントリについて報告いたします。

2.システム境界

化学混和剤の製造に関わるシステム境界を図-1に示します。

図1 混和剤の製造システム境界

3.化学混和剤の主成分別CO排出量

化学混和剤のインベントリデータ算出に用いる主成分別のCO2排出量を表-1に示します。

表1 化学混和剤の原料主成分別CO²排出量

4.化学混和剤のアウトプット・インプット

システム境界に基づいた化学混和剤のCO算出に用いる項目やデータを表-2に示します。 直接的インプットのCO排出量は化学混和剤各主成分の市場比率により平均的な値としました。

表2 化学混和剤のアプトプット・インプット

以上、化学混和剤1トンを生産する際に排出されるCOは220.16kgとなります。

<参考・引用文献>
[1] 日本コンクリート工学会 : コンクリートサステイナビリティフォーラム報告書(2017年度改定)
[2] 日本コンクリート工学会 : 「コンクリートサステイナビリティ委員会」報告会 -10年の総括と展望-

コンクリート用化学混和剤によるCO₂排出量削減の可能性

コンクリートは社会基盤を支える重要な建設材料ですが、その主成分であるセメントの製造過程では多量の二酸化炭素(CO₂)が排出されます。建設分野の環境負荷を低減するためには、セメント使用量を抑えつつ性能を維持・向上させる工夫が不可欠です。その解決策のひとつが「化学混和剤」の有効活用です。

高性能AE減水剤を用いると、コンクリートの流動性を確保しながら水とセメントの使用量を大幅に削減できます。これにより同等の強度を保ちながらCO₂排出を直接的に抑制することが可能です。また、AE剤やAE減水剤は耐久性を高め、凍結融解に強いコンクリートを実現します。耐久性が向上すれば構造物の寿命が延び、補修や再建の頻度を減らすことで長期的な環境負荷の低減につながります。高性能AE減水剤とAE減水剤を比較すると、高性能AE減水剤を使用することより、約10%単位セメント量の削減が可能となります。

さらに、フライアッシュや高炉スラグ微粉末などの混和材をセメントの代替材料として使用することで、資源循環を促進します。これにより、CO₂削減と資源有効利用を同時に実現できるのです。

このように、化学混和剤は単なる性能向上材料ではなく、持続可能な社会の実現に向けた重要な技術要素です。環境負荷の低減と高品質なコンクリートを両立させるために、今後ますますその役割が期待されています。

環境配慮コンクリートを実現するための化学混和剤

環境配慮コンクリートの実現において、混和剤の技術は中核的な役割を果たしています。単にセメント量を減らすだけでは、強度・耐久性・施工性が犠牲になりやすく、そこで化学混和剤の高度化が不可欠となります。

1. CO₂削減と性能維持の両立

高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフュームなどの混和材は、セメント使用量を削減しながら長期強度や耐久性を向上させます。一方、これら材料は反応性や流動性に課題があるため、化学混和剤が不可欠です。

最近では、高炉セメントを改良した低炭素セメントの利用や、CO2を吸収する材料を混ぜ込むことでカーボンネガティブ(排出量マイナス)を目指すことが検討されています。これらの材料にも反応性、流動性、耐久性の観点から化学混和剤が不可欠です。

2. 低水結合材比でも高い施工性

環境配慮コンクリートでは水量削減が重要ですが、水を減らすとワーカビリティが低下します。高性能(AE)減水剤(ポリカルボン酸系など)により、低水結合材比でも自己充填性や打設性を確保できます。

3. 耐久性向上によるライフサイクルCO₂低減

化学混和剤は乾燥収縮低減、凍害抵抗性、化学抵抗性の向上にも寄与します。構造物の長寿命化は、補修・更新回数の削減につながり、ライフサイクル全体での環境負荷低減を実現します。

4. 再生材料・地域材料の活用促進

再生骨材や地域副産物を用いるコンクリートの品質を向上させるためには、化学混和剤技術を活用する事が重要であり、資源循環型コンクリートの普及に貢献しています。


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