増粘剤一液タイプ(高性能AE減水剤・高性能減水剤)

増粘剤一液タイプの混和剤とは

昨今、建築・土木業界においては、大規模地下構造物や締固め作業が十分に行えない環境等、従来のコンクリート施工が困難なケースで高流動コンクリートが使用される場合があります。高流動コンクリートは、締固め作業を行うことなく、型枠の隅々まで材料分離を生じることなく充填できる自己充填性を有しており、建築・土木業界の省人省力化の観点からも、そのニーズが高まってきています。

従来の高流動コンクリートは、材料分離抵抗性を確保するにあたり、①高粉体配合②増粘剤配合③両者の併用等の手法が取られてきましたが、コンクリートの経済性、製造工場の設備面、セメント以外の粉体材料の別途添加による管理面の課題があります。これらの課題解決策として、化学混和剤と増粘剤を一液化した増粘剤一液タイプが開発されました。

JIS A 6204の規格に適合し、従来の化学混和剤に分離抵抗性の機能を付与した増粘剤一液タイプは、単位セメント量を低減した調配合において、流動性の高いコンクリートを簡易に製造することができます。

増粘剤一液タイプの特徴と試験結果例

  1. コンクリート製造工場において、セメント以外の粉体材料の別添加使用が不要であり、設備、装置、人員等の追加措置を取ることなく、通常の製造設備のまま、混和剤の変更のみで高流動コンクリート製造に対応できます。
  2. 製造段階において、細骨材の表面水率変動がフレッシュコンクリート品質に与える影響を緩和し、高流動コンクリートの製造安定化が図れます。
  3. 化学混和剤としては性能規格に適合し、硬化コンクリートについても一般の化学混和剤を使用したコンクリートと同等の品質を確保します。

図-1及び表-1に、高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)を用いた高流動コンクリートと従来の増粘剤系高流動コンクリートを比較したコンクリートの調配合例と、試験結果例を示します。フレッシュ性状では、高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)を使用した高流動コンクリートは、増粘剤系高流動コンクリートに比べて50cmフロー到達時間が速く、粘性が小さい傾向にあります。U型充填高さはいずれも30cm以上を満足しており、十分な充填性を示していますが、従来の増粘剤系高流動コンクリートの方が若干大きい結果となっています。凝結時間は、増粘剤系高流動コンクリートに比べて約2時間程度速く、圧縮強度はほぼ同等となっています。

表-1 コンクリートの調配合
表-1 コンクリートの調配合
図-1 増粘剤系高流動コンクリートとの比較試験結果の一例
図-1 増粘剤系高流動コンクリートとの比較試験結果の一例

※1 BASFジャパン株式会社 技術資料「高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ) 他